サマリー
◆【概況】2ヶ月振りの貿易赤字:2012年3月の貿易統計は、輸出が大きく伸びた一方で、輸入の増勢が続き、貿易収支の赤字基調が継続するなど先行き不透明感が幾分残る内容であった。3月の輸出金額は前年比+5.9%と市場コンセンサスを上回り、6ヶ月振りのプラスとなった。3月の輸入金額は、資源価格の高止まりと原子力発電所事故・稼働停止問題に伴う代替燃料の需要増加によって、前年比+10.5%と27ヶ月連続で増加した。この結果、貿易収支は▲826億円と2ヶ月振りの赤字となった。2011年度の貿易収支は大震災や海外経済減速の影響によって▲4兆4,101億円となり、2008年度以来3年振りの赤字に転落した。
◆【地域・品目別動向(名目)】輸送用機器が2ヶ月連続のプラス:主要品目別にみると、輸出が増加した業種では、「輸送用機器」が前年比+25.4%と2ヶ月連続で増加し、プラス幅も前月(同+5.4%)から大きく拡大した点が注目される。この背景として、「輸送用機器」は米国向けが好調なことに加えて、ASEAN向けが大幅に伸びたことが指摘できる。
◆【今後の見通し】輸出は横ばい圏から徐々に回復軌道へ:輸出は、横ばい圏での動きがしばらく継続すると考えているものの、新興国を中心とする海外経済の成長が徐々に上向くにつれて、回復軌道に復していくと予想する。財政問題を抱える欧州の実体経済は緊縮財政政策などが重石となって当面停滞することが見込まれる一方、米国経済は今後も底堅く推移するとみられ、新興国経済は政策当局による金融緩和スタンスの強化が支えとなり緩やかに持ち直しに向かうと想定している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日