サマリー
◆【業績概要】企業業績は改善に転じるも回復テンポは緩慢:2011年7-9月期の法人企業統計は、東日本大震災によって一時的に大きく下振れた企業業績が足下で緩やかな改善基調にあるという、当社のこれまでの見方を裏付ける内容であった。ただし、その回復テンポが緩慢なものに留まったことに加え、海外経済の先行き不透明感が高まっていることから、2011年度下期については、輸出関連製造業を中心に業績が下振れする可能性がある。
◆【業績見通し】輸出関連製造業に下振れリスク:内需関連企業の2011年度下期の業績については、国内の個人消費が緩やかな改善傾向にあること、復興需要の本格化が今後見込まれることなどを背景に、総じて底堅く推移すると考えている。他方、外需の影響を受けやすい輸出関連製造業の業績は、(1)海外経済の減速、(2)円高の長期化、(3)タイの大洪水によって、業績の下振れリスクが高まっている。
◆【設備投資動向】非製造業が全体を押し下げ:企業の7-9月期の設備投資は、業績の悪化、夏場の電力供給不足、復興需要の遅れなどを背景に、弱含み傾向が続いた。設備投資の先行きについては、復興需要が支えとなり、徐々に持ち直し基調に転じると考えている。当社では、公共投資などの復興需要が顕在化するタイミングを2012年1-3月期と想定している。
◆【GDP予測】7-9月期GDP統計は下方修正:今回の法人企業統計の結果を受けて、2011年7-9月期GDP統計は1次速報から下方修正される見通しである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日