2012年10月25日
サマリー
◆2012年6月末の国際与信残高は25兆1,579億ドルと、前期(2012年3月末)に比べ▲6,405億ドルと2四半期ぶりの減少となった。ECBによる3年物資金供給オペ(2011年12月、2012年2月に実施)が行われた2012年1月~3月に比べ、2012年4月~6月の金融市場はスペインの財政問題やギリシャの総選挙等で緊張が高まったことが要因と思われる。
◆与信残高を与信側(銀行側)からみると、欧州の銀行が欧州先進国向け与信の減少を主因として、前期差▲7,014億ドルと大きく減少させた。一方で米国の銀行は同▲553億ドルと僅かな減少にとどまり、邦銀は同+907億ドルの増加となった。
◆与信受入側は、欧州先進国向け(同▲4,026億ドル)、新興国向け(同▲1,233億ドル)が大きく減少し、その他先進国向け(同▲795億ドル)は相対的に小さな減少にとどまった。GIIPS向け、アジア向け与信も2四半期ぶりの減少となった。
◆2012年9月末の国際与信残高は、ECBの無制限の国債買取策によって金融市場が小康状態になったことで、僅かに増加すると思われる。ただし、依然として、金融市場は不安定な状況に陥る可能性があり、国際与信の安定的な回復には一定の時間を要するものと思われる。
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