2013年10月24日
サマリー
◆2013年6月末の国際与信残高は25兆164億ドルと前期(2013年3月末)に比べ▲2,174億ドル(前期比▲0.9%)と、僅かな減少となった。特徴的なのは新興国向けが前期に比べ▲1,106億ドル(同▲2.2%)と、4四半期ぶりに減少したことである。
◆国別では成長率低下、経常赤字、高インフレ率等のいずれか、または複数の問題を持つブラジル、インド、メキシコ、ロシア向けの与信減少が大きい。与信減少額を対GDP比でみると、ブラジル、ロシア向けはリーマン・ショック時に匹敵、もしく若干下回る影響を受けたことになる。
◆市場では米国の量的金融緩和の縮小が年明けに先送りされるとの認識が広がり始めている。新興国にとっては、多少の時間的猶予が与えられた格好になっているが、問題の解決に取り組まなければ、資金流出は再現される可能性が残る。先行き、世界経済が回復への歩みを進める中で、改革を行えなかった新興国と改革を実施した新興国があるとすれば、資金は後者へと流れ、選別が進むことになろう。
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