2013年04月30日
サマリー
◆2012年12月末の国際与信残高は25兆4,156億ドルと、前期(2012年9月末)に比べ▲313億ドル(前期比▲0.1%)となり、僅かな減少となったものの、ほぼ横ばいの水準にある。ECBによる無制限の国債買取策等が金融市場の安心感につながり、そして、その効果が持続していることが大きな要因と思われる。
◆与信側(銀行側)からみると、前期に比べ米国の銀行、邦銀は与信残高を増加させたが、欧州の銀行は減少した。与信残高に占める欧州の銀行の割合は低下傾向にあり、それを米銀と邦銀が補う形が続いている。
◆与信受入側では、前期に比べ新興国向けは増加したものの、欧州先進国向け、その他先進国向けは減少した。GIIPS向けは増加したものの、ギリシャ向けは前期比▲47.1%と大きく減少した。フランスの銀行が与信を減少させた影響が大きい。ギリシャの与信残高の水準はピークの11%の水準。アジア向けは2四半期連続の増加となった。
◆先行き、国際与信は緩やかに増加すると思われる。ECBの無制限の国債買取策等によって、金融市場は引き続き安定しており、さらに米国や中国で緩やかに景気拡大が続くためである。最大のリスクは、欧州での混乱が再現し、金融市場が再び不安定化することである。欧州は財政健全化を進めつつ、景気の底割れを回避することが重要である。
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