2025年01月30日
サマリー
◆2025年1月20日、米大統領の就任式が行われ第2次トランプ政権が発足した。トランプ政権の優先課題として、ルビオ国務長官等が指摘しているのが、ロシア・ウクライナ間の停戦協定の締結である。トランプ大統領は、戦争終結の目標時期を就任後「24時間以内」から「6ヵ月以内」へと修正しつつも、プーチン大統領との早期首脳会談に意欲を表明するなど、和平実現への姿勢を示している。
◆現時点でトランプ政権下での実現可能性が高い戦争終結シナリオは、ウクライナ・ロシア担当特使のキース・ケロッグ氏らが提案する前線での非武装地帯設置と、ウクライナの当面のNATO(北大西洋条約機構)非加盟を条件とした暫定的な休戦合意である。このアプローチには、最終的な和平の実現のための協議が引き続き必要となるものの、現実的な妥協案といわれている。また即時の戦闘停止が可能との見方から、実効性ある解決策として期待されており、実現時には金融市場にポジティブな反応が予想される。
◆第二のシナリオは、ウクライナがトランプ政権の和平条件を受け入れないケースである。この場合、米欧からの支援停止または縮小によりロシアの軍事圧力が強まり、最終的にウクライナは政権交代、非武装化、中立国化、さらにはロシアによる実効支配地域の領土分割を受け入れざるを得ない事態に追い込まれる可能性がある。また第三のシナリオとして、トランプ政権の和平条件がロシア側で受け入れられないケースが考えられる。その場合、米国がウクライナ支援を拡大して継続することで、戦争の長期化シナリオが現実味を帯びてくる。
◆2025年2月24日でロシアによるウクライナ侵攻から丸3年となる。金融市場では欧州発の景気後退と新たな金融危機への警戒が根強いが、市場参加者の多くが、トランプ大統領の早期和平シナリオへの期待を膨らませており、その実現可能性が2025年のグローバル経済・金融市場の展開を左右する重要なカギを握っている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
増加してきた株主還元方針の見直しに一服感
2025年下半期の振り返り。開示件数は前年同期を下回る
2026年01月30日
-
新春を迎えて
『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
-
「地域金融力強化プラン」の要点
ポイントは①地域企業の価値向上への貢献・地域課題の解決、②地域金融力発揮のための環境整備
2026年01月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

