2023年04月11日
サマリー
◆個人向けの金融ビジネスにおいて、キャッシュレス化の進展などを追い風に「ポイント経済圏」の拡大傾向が続く中、ポイント投資の利用者が増えている。ポイント投資のサービス提供企業にとって、将来の潜在的なコア顧客になり得る、20~30代の若い世代を中心とする投資未経験者や投資初心者の囲い込み戦略が課題となる。
◆ポイント投資は、投資金額が少なく、手数料が無料もしくはかなり低いため、サービス提供会社にとってマネタイズ(収益化)が難しい。今後の課題として、ポイント投資の利用者を増やすと同時に、ポイント投資で投資の経験を積んだ利用者をいかに現金による通常の投資へと移行させていくかという点が挙げられる。
◆今後も、キャッシュレス化の進展とポイントサービス市場の拡大を背景にポイント投資の利用者が増加するという構図が継続すると見込まれる。また、ポイント投資サービスへの新規参入が相次ぐ中、サービス提供企業が顧客の囲い込みのためにキャンペーンの実施等で競い合う「狂騒時代」がしばらく続くとみられる。
◆ポイント投資は、ポイント経済圏を「非金融領域(消費)」から「金融領域(投資)」へと拡大させる手段として位置付けることができる。ポイント投資のサービス提供企業と共通ポイント等の発行企業は、自社グループ内での顧客の囲い込み戦略や他社との「共創」による魅力的なサービスの創出が重要となる。
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