2016年07月28日
サマリー
◆本稿では、マイナス金利政策の導入による影響として、①銀行のポートフォリオ・リバランスの促進効果、②家計・企業の借入需要の変化、③貸出金利から見る銀行の収益性の低下がどの程度進んでいるのかについて、導入当初の状況を概観する。
◆マイナス金利政策の導入以降も、銀行の現預金(その大半は日銀当座預金)の増加が目立つ一方、よりリスク性の高い他の金融資産への資金流入は小幅に留まっている。証券運用では、国債から外国証券や投資信託等への投資の動きが幾分強まり、有価証券全体で4年振りに買い越しとなったが、ポートフォリオ・リバランスの促進効果は未だ弱い状況と見られる。
◆家計・企業の借入需要は、家計では住宅ローン、企業では中小企業向けを中心に強まっているものの、全体的には限定的な高まりに留まる。結果として、マイナス金利政策導入後、預金に比した貸出金の伸び悩みがより顕著となり、預貸率の低下・預貸ギャップの拡大が加速している。
◆貸出金利は、特に地域銀行において、マイナス金利政策の導入以降、低下ペースが一段と加速している。また、利率別貸出金構成を見ても、最も利率の低い範囲の貸出金が急増している。貸出金利に比べて預金金利の引き下げ幅は小さく、預貸金利鞘の縮小が一段と進んでいる様子が窺える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
変容しつつある証券会社の収益構造
収益源の柱は委託手数料からその他の受入手数料に変化
2016年09月16日
-
FinTech は金融業の成長の起爆剤となるか
金融業界の規制改革と成長を両立させるために必要なFinTech
2016年03月25日
-
銀行に及ぶマイナス金利導入の影響
リスク性資産の増加・運用先の多様化が期待されるものの、収益性に一層の下方圧力が加わる懸念
2016年02月26日
-
地方銀行の資産運用の概況(2014年度)
貸出金の残高増加・利回り低下が続く中、資金運用難が示唆される
2015年08月20日
-
地方銀行が担う"貯蓄から投資へ"の現状
~都道府県別の家計の有価証券保有状況と地方銀行の対応~
2014年08月29日
-
地方銀行の資産運用の動向と今後の課題
~現状の金融政策とその波及効果が地方銀行に及ぼす影響は?~
2014年11月06日
-
地方創生において地方銀行に求められる役割と課題
~地方の特性に応じた地方活性化に向けた地方銀行の役割とは~『大和総研調査季報』 2015年新春号(Vol.17)掲載
2015年03月02日
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:デジタル人民元の国際化を後押しするmBridgeプロジェクトとは
ブロックチェーン上で進む「米ドル依存脱却」への布石
2026年09月04日
-
地域金融力強化プランを踏まえた地銀業界再編の方向性
~再編による期待される相乗効果とは~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
予測市場の現状と証券ビジネスへの示唆
未来を価格として表す市場は金融を変えるか
2026年07月02日
最新のレポート・コラム
-
社債権者集会の開催に関する規律の概要
会社法改正の検討事項:バーチャル社債権者集会の法制化に関する論点(前編)
2026年09月10日
-
新コードに基づくCG報告書の開示が始まった
開示原則以外の記述は?解釈指針への対応は?
2026年09月10日
-
一時152円台に突入したドル円レート、日本経済への影響と円高の背景
10円の円高ドル安でGDPは▲0.16%も多くの企業・家計にはプラス
2026年09月09日
-
2026年9月日銀短観予想
AI・半導体需要で製造業は改善、非製造業はコスト増で悪化を予想
2026年09月09日
-
歩みを続ける:ジェンダー・ギャップ指数が教えてくれること
2026年09月09日
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

