銀行に及ぶマイナス金利導入の影響

リスク性資産の増加・運用先の多様化が期待されるものの、収益性に一層の下方圧力が加わる懸念

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  • 菅谷 幸一

サマリー

◆マイナス金利導入による銀行への影響については、当初は適用対象が一部に留まることから、その直接的な影響(日銀当座預金の金利収入減少)は限定的と思われる。


◆一方、これまでのように新規の資金を日銀当座預金のまま保有することは難しくなることから、貸出・有価証券等に、より多くを振り向ける方向に進む可能性があり、よりリスク性の高い資産の増加や運用手段の多様化が進展することが期待されている。


◆ただし、現在の資金需給、競争環境、金利状況に鑑みると、趨勢的な資金運用利回りの低下傾向はより一層強まると想定され、国内収益(特に資金運用収益)への依存度の高い地方銀行をはじめ、銀行の収益性に対する下方圧力が強まっていくことが考えられる。


◆今後、マイナス金利政策の影響により、本業収益が減少したとしても、日銀の買いオペが続く間は、国債の売却により利益を確保する手段が残されると考えられ、銀行が依存していく可能性も否定できない。

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