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地方銀行が担う"貯蓄から投資へ"の現状

~都道府県別の家計の有価証券保有状況と地方銀行の対応~

金融調査部 主席研究員 内野 逸勢

菅谷 幸一

サマリー

◆“貯蓄から投資へ”の促進における銀行の重要性が高まっている。2014年7月末の株式投資信託の純資産総額は70兆円と、1998年に銀行窓販が解禁されてから、7倍程度に増加した。このうち銀行等を通じて販売された純資産総額は全体の4割超を占める。


◆しかし、金融庁は「投資信託による運用は家計金融資産の4.8%にとどまっている」と指摘。その理由として、特にマーケティングへの取り組みが不足しているとしている。


◆各地域において金融インフラの中心を担う地方銀行は、“貯蓄から投資へ”の促進においても、重要な役割を果たすことが期待されている。その多くは、中期経営計画のリテール金融戦略において、マーケティングを強化し、投資信託等の預り資産を増やす取り組みを積極化している。


◆このような地方銀行の中でも、主に都市圏に位置し、厚い顧客基盤を持つ規模の大きな銀行が、コスト面および展開可能な戦略面において優位となる可能性が高いと考えられる。これは、規模の大きい銀行は、預り資産も多く、収益性も高いことからも窺える。


◆本稿の分析では、富裕層比率が高く、高齢層比率の低い地域は、家計の有価証券投資に対する積極性が高く、都市圏ではそれに該当する地域が多いことが示唆された。都市圏をはじめ、規模が大きい地方銀行が位置する地域は、マーケットとしての魅力が高い。


◆一方、都市圏は、都市銀行等のターゲット市場でもあり、地方圏よりも相対的に競争が激しい。本稿の分析では、都市圏に所在する大きな地方銀行よりも地方圏の地方銀行が各地域の有価証券投資ニーズを相対的に取り込めていることが窺える結果となった。


◆しかし、本稿の分析では、依然、都市圏、地方圏問わず、どの地方銀行も地域の“貯蓄から投資へ”のニーズに十分応えているとは言い難い結果となった。各地域の“貯蓄から投資へ”において地方銀行の戦略の今後の成果が注目される。

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