2016年09月16日
サマリー
◆証券会社の業績は、フロー収益を中心とするビジネスモデルの下、株式市場をはじめとする相場の動きに連動しやすく、変動の大きい傾向が見られる。
◆証券会社の収益は、2012年度以降、アベノミクス等を背景にした市況や企業業績の回復を受けて、3年連続で増加した。しかし、直近の2015年度には、前年夏場以降の世界的な金融市場の混乱や世界経済の先行き不透明感の高まりの影響を受けて、減少に転じた。
◆純営業収益の推移を項目別に見ると、収益源の中心は、委託手数料からトレーディング損益やその他の受入手数料(手数料収入のうち、ブローカー業務・アンダーライティング業務・セリング業務以外の付随業務・兼業業務にかかる手数料)に変化しつつあるように見受けられる。その他の受入手数料は、ラップ口座の普及促進といった、証券会社のストック収益の拡大に向けた取組みにより、その比重を増しつつある。
◆証券会社の規模による収益構造の違いを見ると、収益源として、中小証券は委託手数料への依存度が高い一方、大手証券はより分散化しているという特徴がある。同様に費用構造を比較すると、中小証券は大手証券よりも人件費の割合が高い。営業収益対比の費用水準で比較しても、大手証券は中小証券よりも人件費の抑制が進んでおり、相対的に収益性が高くなっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
金利上昇下における預金基盤の重要性の高まり
~預金を制するものは金融業界を制す~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
地方銀行の越境再編
その土台にある地域経済圏の再構築
2025年07月11日
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(後編)
GENIUS法案は如何にして米ドルの支配的地位を補強するか
2025年06月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日