変容しつつある証券会社の収益構造

収益源の柱は委託手数料からその他の受入手数料に変化

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  • 菅谷 幸一

サマリー

◆証券会社の業績は、フロー収益を中心とするビジネスモデルの下、株式市場をはじめとする相場の動きに連動しやすく、変動の大きい傾向が見られる。


◆証券会社の収益は、2012年度以降、アベノミクス等を背景にした市況や企業業績の回復を受けて、3年連続で増加した。しかし、直近の2015年度には、前年夏場以降の世界的な金融市場の混乱や世界経済の先行き不透明感の高まりの影響を受けて、減少に転じた。


◆純営業収益の推移を項目別に見ると、収益源の中心は、委託手数料からトレーディング損益やその他の受入手数料(手数料収入のうち、ブローカー業務・アンダーライティング業務・セリング業務以外の付随業務・兼業業務にかかる手数料)に変化しつつあるように見受けられる。その他の受入手数料は、ラップ口座の普及促進といった、証券会社のストック収益の拡大に向けた取組みにより、その比重を増しつつある。


◆証券会社の規模による収益構造の違いを見ると、収益源として、中小証券は委託手数料への依存度が高い一方、大手証券はより分散化しているという特徴がある。同様に費用構造を比較すると、中小証券は大手証券よりも人件費の割合が高い。営業収益対比の費用水準で比較しても、大手証券は中小証券よりも人件費の抑制が進んでおり、相対的に収益性が高くなっている。

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