企業に求められる人的資本と企業戦略の紐づけ、および情報開示

有価証券報告書における情報開示は実質義務化?

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2022年08月09日

サマリー

◆上場会社に人的資本開示を求める制度整備が進んでいる。2021年にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、人的資本について情報開示を促す内容が盛り込まれた。

◆金融庁金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループが2022年6月に公表した報告書(以下、DWG報告)では、中長期的な企業価値向上における人材戦略の重要性を踏まえた人材育成方針(多様性の確保を含む)や社内環境整備方針などを、有価証券報告書の開示項目とすることが提案されている。

◆現状のDWG報告の提言内容に基づけば、人材育成方針と社内環境整備方針に関しては、企業が投資家にとって重要な情報であると判断した場合に有価証券報告書で開示することになる。企業の経営計画/経営戦略を見ると、人材育成の重要性について言及しているケースが大半である。人材育成方針に関しては基本的にほぼすべての企業にとって重要な(有価証券報告書で開示すべき)情報に該当するのではないだろうか。

◆サステナビリティ情報開示は、これまでも企画やIR、サステナビリティ、リスクマネジメント、財務など幅広い部署の連携により行われているが、今後はこれに人事部門も加わることになる。どのような記載内容にすべきか、指標を開示する場合はその基となるデータの有無の確認や、対象範囲をどうするか(海外も含めるか)といった検討を早期に行うことが必要だろう。

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