深化する米国の健康経営

デジタル化や健康の公平性、フィナンシャルウェルネスにも注目

RSS

2022年03月08日

サマリー

◆米企業では健康経営の一環として従業員にウェルネスプログラムを提供しているが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの企業がその内容を改善させている。従業員200人以上規模の企業の58%はオンラインによるカウンセリングサービスを新たに提供・拡大したほか、21%が新しいデジタルプログラム等を追加した。

◆パンデミックに対応して米企業がウェルネスプログラムを機敏に修正したのは、医療費の削減や生産性の向上につながるということがあるが、従業員の健康状態を含む企業の人的資本等に投資家らの関心が集まっていることもある。米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対して、人的資本に関する情報開示の義務化を決めたこともあり、従業員の健康維持・増進やメンタルヘルスの向上に向けた取り組みを開示する企業が多い。

◆2022年の米企業のウェルネスプログラムでは、引き続き重点的に取り組まれるメンタルヘルスのほか、健康格差の解消やフィナンシャルウェルネス(金融の健康度)の改善に注目すべきだろう。環境変化に応じて深化する米企業の多彩なウェルネスプログラムは、健康経営に取り組み、人的資本の向上を目指す日本企業にとっても参考になるはずだ。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。