2015年08月17日
サマリー
◆2015年12月にパリで開催予定の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では、2020年以降の「新しい枠組み」の合意が予定されている。本稿では、これまでの気候変動政策の経緯を整理し、COP21の意義と今後の見通しについて考える。
◆国際社会は、気候変動枠組条約(1992年採択)や京都議定書(1997年採択)等を通して気候変動対策に取り組んできた。しかし、先進国と途上国との間で、排出責任や国際協力等の考え方に隔たりが生じており、世界全体のGHG排出削減につながる政策効果は得られていない。
◆2020年以降の新しい枠組みは、公平かつ実効的にすることが不可欠であるため、すべての国が参加することを最優先に交渉が行われている。COP21では、合意内容に対する法的拘束力の持たせ方や、INDCの透明性や実効性の確保等が論点として挙げられる。当面の鍵は、全締約国の事務レベルによる厳しい交渉が想定される10月のADPでの事前合意である。
◆ただし、仮にCOP21で合意できたとしても、2℃目標を実現するためには、多くの課題を解決していかなければならない。COP21は、これからも続ける必要がある気候変動交渉の通過点でしかない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
パリ協定を踏まえた国内の環境・エネルギー政策の現状と方向性
省エネ・低炭素対策は経済状況に応じた柔軟な政策対応とイノベーションの創出が必要
2016年02月15日
-
COP21に向けた地球温暖化対策(その7)
「パリ協定」採択で、2030年度に向けた対策が本格化
2015年12月28日
-
COP21に向けた地球温暖化対策(その6)
COP21が、いよいよ開幕へ。交渉の見どころを探る。
2015年11月27日
-
COP21に向けた地球温暖化対策(その5)
地球温暖化の悪影響を回避する“適応計画”をめぐる課題
2015年11月17日
-
EUの気候変動対策
COP21に向け、提出された約束草案と日本への示唆
2015年03月31日
-
COP21に向けた地球温暖化対策(その1)
排出削減目標に貢献する森林吸収源対策
2015年06月23日
-
COP21に向けた地球温暖化対策(その2)
急がれる国内の環境・エネルギー政策のとりまとめ
2015年07月15日
同じカテゴリの最新レポート
-
機械学習による有価証券報告書(2025年3月期)の人的資本開示の可視化
経営戦略と人事戦略の連動や、指標及び目標の設定に課題
2025年08月01日
-
サステナビリティWGの中間論点整理の公表
2027年3月期から順に有価証券報告書でのサステナビリティ開示拡充
2025年07月28日
-
カーボンクレジット市場の新たな規律と不確実性
VCMI登場後の市場と、企業に求められる戦略の頑健性
2025年07月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日