パリ協定を踏まえた国内の環境・エネルギー政策の現状と方向性

省エネ・低炭素対策は経済状況に応じた柔軟な政策対応とイノベーションの創出が必要

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2016年02月15日

  • 大澤 秀一

サマリー

◆パリで開催されたCOP21において、「パリ協定」が採択された。日本政府は署名および締結に向けて必要な準備を進めている。国内においては、今春をめどに緩和に係る「地球温暖化対策計画」の策定や、同計画の実効性を担保する「エネルギー革新戦略」等をとりまとめ、速やかにGHGの排出削減に取組む考えである。


◆日本は、2020年に2030年度目標(2013年度比26.0%減(2005年度比25.4%減))よりも高い目標と、2℃目標に向けた「長期温室効果ガス低排出発展戦略」を提出することになる。さらに、5年ごとに新しい目標の提出が義務付けられおり、長期にわたり拘束されることになる。


◆政府は今春をめどに、緩和に係る「地球温暖化対策計画」を閣議決定し、あわせて実効性を担保するための「エネルギー革新戦略」と、長期目標に対応する「エネルギー環境イノベーション戦略」をとりまとめる作業に入った。エネルギー起源CO2の排出削減に向けた省エネ対策と低炭素エネルギー導入拡大が2本柱となる。パリ協定の目標達成の努力は必要だが、省エネと経済の両立には課題が多く、慎重な対応が求められる。


◆パリ協定は、今後、国内の環境・エネルギー対策を実施していく上で大きな制約条件となるものの、同時に、日本の地球温暖化外交戦略に大きな可能性を与えるものと考えることができる。様々な課題はあるが、国内対策のとりまとめを伊勢志摩サミット(2016年5月)に間に合わせることで、国際社会を主導する動きにつながることに期待する。

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