2013年12月17日
サマリー
毎年12月は、日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ」が開催される。2013年は12月12日~14日までの3日間、東京ビッグサイトで行われた。この中でNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、3年振りに改訂した「再生可能エネルギー技術白書2013」のセミナーを開催した(※1)。
章立て(図表1)から、前回(2010年版)との大きな違いを拾うと、「その他の再生可能エネルギー」で記述されていたものを大項目に格上げしたこと(太陽熱利用、地熱発電、中小水力発電)、波力発電と海洋温度差発電に潮流発電を加えて「海洋エネルギー」としたこと、再生可能エネルギーによる発電量の不安定さが系統電力に与えるマイナスの影響を減じるための「系統サポート技術」を新規に記述したこと、などが挙げられる。
導入が進んで適地が減少している太陽光発電については、単なる発電効率の向上だけでなく、従来は考えられていなかった水上や外壁などに設置する実証事業が紹介され、陸上の風力発電についても、適地が少なくなっている海外の動向などが紹介されている。また太陽光発電のリサイクルにも言及しているなど、太陽光発電と陸上の風力発電については、独り立ちが見えてきたと感じられる。
一方、洋上風力発電については、日本と欧州を中心に実証実験の動きが活発化していることもあって、設備容量・離岸距離・水深や初期費用との関係を分析した結果や内外の実証実験などが紹介されている。
今回、新設された「系統サポート技術」では、平常時に懸念される課題として「電力需給ギャップ」、「周波数変動」、「電圧上昇」を、系統事故時に想定される課題として「単独運転」(上位系統の事故などで電力供給を停止しなければいけないのに運転を継続すること)、「不要解列」(系統から切り離す必要がないのに切り離すこと)が示されると共に、対策として蓄エネルギーや火力発電など既存電源などの要素技術の他に、広域運用や発電出力予測などのシステム制御技術が紹介されている。
12月12日に開催されたNEDOのセミナーでは、2013年版の白書の内容について「再生可能エネルギーの役割」、「太陽光発電」、「風力発電」、「バイオマスエネルギー」、「地熱発電」、「系統サポート」の担当者から、それぞれ発表があった。この中で一番印象に残ったのは、地熱発電の最近までの停滞(※2)が招いた、今後の課題である。地熱発電は、固定価格買取制度(FIT)の対象になっているが、地質調査や環境アセスメントなど、開発の初期段階に時間がかかるため、認定されたものはまだない。白書では、長期間、地熱発電の新規開発がなかったことによって、技術者の減少や海外への流出が想定されると指摘している。全ての再生可能エネルギーを同等に支援することは現実的ではなく、今後の支援も濃淡が出るだろう。優先度が低く評価された技術は支援が「淡」になるだろうが、地熱発電の二の舞を避けるためにも、人材維持・育成支援については配慮が望まれる。
(※1)独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 「『再生可能エネルギー技術の最前線 —NEDO再生可能エネルギー技術白書 2013発表—』の開催」
(※2)地熱発電は、安定的なベース電源として石油危機以降、導入が推進されたが、原子力発電を重視する政策に変わって1990年代後半には補助金などがなくなったため、1999年に運転開始された八丈島の地熱発電所を最後に、その後は新設されていない。
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