洋上風力発電

2013年1月30日

解説

洋上風力発電は、洋上、すなわち海の上で風力による発電を行うもので、大別して二つの方式がある(図表1)。一つは「着床式(着底式)」と呼ばれるもので、海底に直接設置する方式である。もう一つは「浮体式」と呼ばれ、鎖などを使って着床式よりも深い海底に固定する方式である。コストの面からは、水深50m程度までなら着床式、それ以上深い場合は浮体式の方が良いといわれている。

図表1 洋上風力発電の種類
図表1 洋上風力発電の種類
(出所)大和総研作成

従来の陸上風力発電と比べると、以下のような利点と課題がある。

[利点]
・風況(風速や風の向きなど)の良いところが多い
・都市部などエネルギー消費の多い地域のそばにも風況の良いところがある
・景観や騒音などの影響が小さい
・規模の経済がきく、大型化・ウインドファーム化が可能

[課題]
・基礎工事、送電線敷設などの設置コストや、メンテナンスコストがかかる
・塩害対策、遠隔監視などの高度な技術が必要
・漁業従事者との合意形成が必要


ドイツやスペインなどを筆頭に、欧州では陸上風力発電の導入が進んでいるが、適地が少なくなってきたため、最近では洋上風力発電の導入も推進している。中でも力を入れているのが英国やデンマークである。例えば英国では、2011年末時点で風力発電全体の設備容量が6,540MWあるが、そのうち洋上風力発電は2,094MWと約3割を占めている(※1)。欧州は遠浅の海岸が多いため、着床式の風力発電の導入が進んでおり、浮体式はノルウェーやポルトガルなどが実験中である。

日本では、山形県、茨城県、北海道の3地域で合計25MW(※2)の着床式の洋上風力発電が稼働している(2013年1月時点)(※3)。周囲を海に囲まれている日本には世界6位の広さのEEZ(排他的経済水域)があるが、着床式に向く浅瀬は少ない。
そこで日本では、浮体式洋上風力発電の実証実験を進めて、海外勢に先行しようとしている(図表2)。

図表2 洋上風力発電の実証実験
図表2 洋上風力発電の実証実験
(出所)NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)、環境省、経済産業省、自治体、日本風力発電協会等の資料を基に大和総研作成

(※1)GWEC “Global Wind Report Annual market update 2011”
(※2)2013年3月からは、茨城県で16MWが稼働予定。
(※3)サミットウインドパワー株式会社、株式会社 小松﨑都市開発、北海道久遠郡せたな町の公開資料を合計した。

(2013年1月30日掲載)

おすすめ関連レポート

お問い合わせ

PDFファイルの閲覧にはAdobe® Reader®新しいウィンドウで開きますが必要となります。お持ちでない方は、アドビ システムズのウェブサイトから無償ダウンロードができます。
なお、Adobe® Reader®のインストール方法は、アドビ システムズ ウェブサイト新しいウィンドウで開きますをご覧ください。

Get Adobe® Reader®

リサーチ

リサーチメールマガジン

大和総研研究員によるレポートやコラム、書籍・刊行物などの最新情報を適宜お届けします。

ダイワインターネットTV

2016年8月15日
“女性の活躍”に関する情報開示と投資家動向

書籍

ソーシャルファイナンスの教科書―「社会」のために「あなたのお金」が働くということ

金融は本来自分のためと社会のために自分のお金に働いてもらうこと、という考え方を出発点として、地球環境問題や、所得格差などの社会課題解決のために、個人としてできることから、世界の運用業界で注目されているサステナブル投資の潮流などを含め、新たな金融―ソーシャルファイナンス―の在り方について考察していきます。