サマリー
◆資産形成を促す要因として金融リテラシーが挙げられる。しかし、既存の研究が依って立つ調査は、金融に関する知識や理解度を測るものに偏っていることが指摘できる。既存の研究を補うため、大和総研では、2020年1月にアンケート調査を実施した。金融だけでなく税制や年金のリテラシーを把握する設問を設けた上で、どのようなリテラシーが具体的な金融行動に結びつくか、ということを調査した。
◆分析の結果、①金融・税制・年金の「3種のリテラシー」が全体的に高くなるほど、リスク性商品の保有経験比率や税制優遇制度の活用比率が概ね高くなること、②年金リテラシーは金融・税制リテラシーに比べて、リスク性商品の保有行動に与える影響が小さい可能性があること、③税制リテラシーは、金融・年金リテラシーと比べて税制優遇が与えられる制度への加入行動に与える影響が大きい可能性を確認した。
◆教育課程では金融・経済教育が推進されてきており、金融機関でも金融・経済教育に取り組む先も少なくない。資産形成を促すための教育として、どのリテラシーに注力すべきか、という点について本稿では予備的な分析を行った。その結果、金融リテラシーと税制リテラシーは資産形成に対し、比較的有効であることが確認できた。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国DC「自動加入化」の効果と今後の期待
若年層や低所得者層の加入率向上と資産形成の促進に有効な仕組み
2025年10月07日
-
議決権行使における取締役兼務数基準の今後
ISSの意見募集結果:「投資家」は積極的だが、会社側には不満
2025年10月03日
-
大和のクリプトナビ No.4 ビットコインは「デジタル・ゴールド」か?
一定の妥当性はあるが脆弱性が残る。制度の整備や需要の多様化が鍵
2025年10月02日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日