資金循環統計からみる日米資産運用主体の現況

日米とも証券投資信託の金融資産残高増加

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2018年06月18日

  • 中里 幸聖

サマリー

◆日米の資産運用主体を資金循環統計を用いて概観した。

◆資産運用を中心としている部門の金融資産残高の推移をみると、日米共に各部門合計の増減の動きと証券投資信託の増減の動きが近似している。米国では2009年以降各部門合計が増加基調にあり、特に証券投資信託の増加が最も寄与している。一方、日本では2012年末以降各部門合計が増加基調にあるが、証券投資信託の増加に加え、生命保険、公的年金の増加も寄与している。

◆わが国における証券投資信託の残高を運用資産別にみたとき、2012年末以降の増加の主要因は、上場株式と対外証券投資の増加である。一方、マイナス金利政策の影響で、短期の運用資産の構成比が低下している。米国の証券投資信託の残高増加の要因は、株式の増加を主体としつつ事業債も増加していることである。また、制度的な側面として、民間年金基金の確定拠出からの資金流入も米国の証券投資信託の残高増加に寄与している。

◆米国の状況を参考に、今後のわが国の証券投資信託の金融資産残高の持続的増加のカギは、わが国の株式市場の持続的な成長が第一と考える。

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