サマリー
◆日米の資産運用主体を資金循環統計を用いて概観した。
◆資産運用を中心としている部門の金融資産残高の推移をみると、日米共に各部門合計の増減の動きと証券投資信託の増減の動きが近似している。米国では2009年以降各部門合計が増加基調にあり、特に証券投資信託の増加が最も寄与している。一方、日本では2012年末以降各部門合計が増加基調にあるが、証券投資信託の増加に加え、生命保険、公的年金の増加も寄与している。
◆わが国における証券投資信託の残高を運用資産別にみたとき、2012年末以降の増加の主要因は、上場株式と対外証券投資の増加である。一方、マイナス金利政策の影響で、短期の運用資産の構成比が低下している。米国の証券投資信託の残高増加の要因は、株式の増加を主体としつつ事業債も増加していることである。また、制度的な側面として、民間年金基金の確定拠出からの資金流入も米国の証券投資信託の残高増加に寄与している。
◆米国の状況を参考に、今後のわが国の証券投資信託の金融資産残高の持続的増加のカギは、わが国の株式市場の持続的な成長が第一と考える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
活力ある金融資本市場に向けて
~焦点は金融資本市場の利用者~『大和総研調査季報』 2016年秋季号(Vol.24)掲載
2016年12月01日
-
財投、政策金融など「官」の資金の近況
官民ファンド、政策金融機関強化は、徐々に累積的な効果
2016年05月10日
-
資金循環統計(2015年10-12月期)
今期から2008SNAを踏まえた見直し後の新ベースで公表
2016年04月22日
-
公的年金運用改革は一元化後に本格化するか
被用者年金一元化を見据え各共済組合等も資産構成に変化がみられる
2015年11月16日
-
財投、政策金融など「官」の資金に変化はあるか
資金循環から見た公的な法人の動向
2015年01月30日
-
財政投融資と政策金融機関
ニュースで見かける官民連携のキーワード 第6回
2013年09月11日
同じカテゴリの最新レポート
-
トランプ大統領「議決権行使助言業者への規制強化」
議決権行使助言業者規制に関する大統領令を発出
2025年12月16日
-
議決権行使助言業者への依拠は共同保有認定
米国SECのウエダ委員が議決権行使助言業者規制の方向性を明らかに
2025年12月09日
-
投信運用広がるDC、時価上昇で資産額増加
元本確保型商品100%運用の加入者は2割強、分散投資の促進が課題
2025年11月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

