公的年金運用改革は一元化後に本格化するか

被用者年金一元化を見据え各共済組合等も資産構成に変化がみられる

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サマリー

◆公的年金の資産総額は、205.4兆円と8年ぶりに200兆円を回復した。資産構成をみると、2000年代後半以降は、国債等の割合が徐々に低下し替わって株式・出資金、対外証券投資の割合が上昇している。これはGPIFの動きを反映したものとみられる。


◆GPIFでは、運用対象の多様化、ベンチマークの多様化などの運用改革が本格化している。2014年10月には基本ポートフォリオの変更を公表し、その後の資産構成は、国内債券からリスク性資産へのシフトが進んでいることを示している。


◆被用者年金制度の一元化により、共済年金は厚生年金と一本化した。一元化後はGPIF及び各共済組合等は共通の運用方針の下、積立金の管理運用を行う。一元化前の各共済組合等の資産構成を確認すると、国内債券の比率は高いものの、リスク性資産へシフトする動きもみられる。


◆GPIFの運用改革の背景には、少子高齢化により公的年金制度の維持が難しくなっていることがある。積立金の運用リターンの改善を図るべく、ポートフォリオ改革が進められているが、さらに高度化した分散投資を進めていくには、同時にガバナンス改革が必要になろう。

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