サマリー
◆国内では統合報告書の発行企業数が着実に増加している。同時に、価値創造ストーリーの明確化やマテリアリティの戦略・KPIへの反映を通じて、ステークホルダーの目を意識した「評価される開示」への質的進化も進んでいる。統合報告書は中長期的な企業価値創造のための戦略的コミュニケーションツールとして定着しつつある。
◆一方で、国内では一部の企業に対し、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が策定した基準に基づくサステナビリティ開示(以下、「SSBJ開示」)の義務化が始まる。これまで任意開示を中心に高度化が進められてきたフェーズから、法定開示と任意開示を両輪として高度化を目指すフェーズへと移行する。統合報告書で培われてきた価値創造ストーリーを基盤としながら、両者の役割分担と接続をいかに設計するかが、今後の実務上の重要な課題となるだろう。
◆統合報告書とSSBJ開示は、性格や形式は異なるものの、企業の価値創造ストーリーや経営戦略、リスク・機会の認識等の「共通基盤」の上に成り立っており、補完関係にあると言える。両者を一体的に設計・運用することで、開示対応コストを抑えつつ、投資家との対話の質と中長期的な企業価値創造の訴求力を高めることが可能となる。「企業価値をいかに語るか」という経営課題に対する戦略的な打ち手となり得るだろう。
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