2025年03月24日
サマリー
◆日本では、2025年3月5日に日本版サステナビリティ開示基準が公表された。2027年3月期決算以降、時価総額が大きなプライム市場の上場企業から段階的に、有価証券報告書におけるサステナビリティ開示が義務化され、対象企業には、現状よりさらに広範かつ深い内容の開示が求められることになる。対象外の企業についても同基準に基づく任意開示が推奨されており、開示に消極的な企業は資本市場における評価が下がるリスクがある。
◆多種多様なサステナビリティ・トピックが注目を集める中、これからサステナビリティに関わる取り組みを本格化する企業にとって、何から優先的に検討すべきか判断に悩むところである。時価総額3兆円以上の大企業69社を対象に、有価証券報告書に記載されているサステナビリティ・トピックを集計すると、人的資本や気候変動、健康経営、生物多様性に関して記述している企業が過半を占めている。これらは上場企業のみならず、ステークホルダーからの関心も高いトピックと考えられる。
◆それぞれのサステナビリティ・トピックについて開示を行うためには、社内の実施体制を整備し、社内外の情報を収集・整理・分析し、今後の方向性を検討し意思決定するなど、時間と人手をかけて取り組む必要がある。開示義務化への流れが強まる中、これまでサステナビリティについて強く意識してこなかった企業も、早めに検討を始めると良いだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
サステナビリティ開示動向アップデート
高まるサステナビリティ情報の開示充実化の要請と企業の実務対応
2024年12月23日
-
SSBJの日本版サステナビリティ開示基準案
プライム市場上場会社は適用が義務化される見通し
2024年04月12日
-
サステナビリティ情報の保証をめぐる動向
ISSA5000の公表、各国の規制、わが国での検討状況
2024年12月04日
同じカテゴリの最新レポート
-
サステナビリティ開示動向アップデート
高まるサステナビリティ情報の開示充実化の要請と企業の実務対応
2024年12月23日
-
今の札幌は40年前の仙台より暑い!?
身近な気候の変化が示す温暖化の現実
2024年12月02日
-
中国はグリーン水素でも主導権を握るのか(前編)
2024年05月17日