サステナビリティ開示動向アップデート(2)

有価証券報告書におけるサステナビリティ開示の現状

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  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 中川 葉子

サマリー

◆日本では、2025年3月5日に日本版サステナビリティ開示基準が公表された。2027年3月期決算以降、時価総額が大きなプライム市場の上場企業から段階的に、有価証券報告書におけるサステナビリティ開示が義務化され、対象企業には、現状よりさらに広範かつ深い内容の開示が求められることになる。対象外の企業についても同基準に基づく任意開示が推奨されており、開示に消極的な企業は資本市場における評価が下がるリスクがある。

◆多種多様なサステナビリティ・トピックが注目を集める中、これからサステナビリティに関わる取り組みを本格化する企業にとって、何から優先的に検討すべきか判断に悩むところである。時価総額3兆円以上の大企業69社を対象に、有価証券報告書に記載されているサステナビリティ・トピックを集計すると、人的資本や気候変動、健康経営、生物多様性に関して記述している企業が過半を占めている。これらは上場企業のみならず、ステークホルダーからの関心も高いトピックと考えられる。

◆それぞれのサステナビリティ・トピックについて開示を行うためには、社内の実施体制を整備し、社内外の情報を収集・整理・分析し、今後の方向性を検討し意思決定するなど、時間と人手をかけて取り組む必要がある。開示義務化への流れが強まる中、これまでサステナビリティについて強く意識してこなかった企業も、早めに検討を始めると良いだろう。

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