2012年上半期の中国全土の成長率は年率で7.8%と久々に8%を割った(破八)。中国では従来、雇用への影響から8%以上の成長を維持する(保八)ことが至上命題のように考えられていただけに、にわかに中国経済の減速を懸念する声が内外で高まっている。ただ、地域別の成長率には大きなばらつきがあり、7月中旬までに発表された20の省・直轄市をみる限り、基本的に西高東低(西快東慢)である。中西部地域は大半が10%を超える一方、東部は10%以下が多く、ちょうど10%が東部と西部を分けるラインとなっており(東西部分界線、7月23日付第一財経他)、天津(14.1%)と福建(11.4%)のみがこの境界線を超えている。20の省・直轄市の中では、貴州の14.5%がもっとも高く、北京の7.2%が最も低い成長率だ。
3つの養老之憂
急速に進む高齢化に対する懸念(養老之憂)がもはや無視できなくなっている(不容忽視)との議論が、専門家やメディアの間で盛んになっている。第一は、高齢化社会に対応する産業が未発達であること(産業之慮)、たとえば2010年末、養老施設のベッド数は老齢人口総数の1.59%にすぎず、先進国の5-7%はおろか、一部発展途上国の2-3%にも満たない。養老施設は全国に約38,000しかなく、専門的人材が少なく経営効率も著しく悪い。第二は、高齢者の生活環境が困難を極めていること(生存之窘)、2010年末、要介護高齢者は3,300万人、うち1,080万人は完全介護が必要、2015年には、これが各々4,000万人、1,200万人以上に増えると言われている。なかでも、一人暮らしの要介護老人(空巣老人)が急速に増えている(以上7月27日付経済参考報等)。第三は、年金財政の資金難(資金之困)だ。
晒三公は触目惊心
6月、審計署は2011年審計工作報告(会計検査報告)を発表、多くの行政経費の不正使用、浪費の実態を指摘した。しかし、一般国民やメディアの反応は総じて冷ややかだ。米国をベースとする中国語サイト自由亜洲電台(6月29日付)は特に辛辣で、指摘されている例だけでも一般庶民を驚かせるものだが(触目惊心)、もちろん誰もがこれらは氷山の一角(冰山一角)にすぎないと考えており、現在すでに問題が手の施しようのない深刻なところにきている(病入膏肓)とまで指摘している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
地域で影響を増す外国人の社会増減
コロナ禍後の地域の人口動態
2025年07月24日
-
生成AI利活用に関する技術・サービスの動向
基盤モデルなどの最新動向、および全体像・自社事例を解説
2024年07月01日
-
コロナ禍を踏まえた人口動向
出生動向と若年女性人口の移動から見た地方圏人口の今後
2024年03月28日
関連のサービス
最新のレポート・コラム
-
資金循環統計からみる家計金融資産の現状
2026年3月末の金融資産は2,386兆円に。現預金比率は47%に低下
2026年06月26日
-
日本での実質株主確認制度導入に向けた議論
会社法中間試案では2つの制度の導入を検討
2026年06月26日
-
米国:AI活用は続くが、「選別」も本格化へ
「選別」は過剰投資を抑制も、信用リスク・資産価格への波及に注意
2026年06月25日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 高市政権の成長戦略、骨太の方針で実質賃金は本当に増加するのか?
①時間あたり労働生産性の引き上げ、②1人あたり労働時間の増加、の2点が1人あたり実質賃金の増加に向けたカギ
2026年06月25日
-
「形式的・機械的な議決権行使」批判について考える
2026年06月26日
よく読まれているコンサルティングレポート
-
2026年6月株主総会に向けた論点整理
アクティビスト投資家等による株主提案数は過去最多
2026年06月04日
-
2026年6月株主総会の株主提案数(速報)
2026年6月株主総会の株主提案数は101社と過去2番目の多さ
2026年06月17日
-
アクティビスト投資家の近時動向(2026年4月)
「変質」しつつあるアクティビスト投資家。「対話」から「交渉」に。
2026年04月09日
-
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2025年9月版)
「同意なき買収」時代における買収対応方針の効果と限界
2025年09月24日
-
なぜ中国企業は中期経営計画を開示しないのか
—制度・市場・経営環境から読み解く、中国企業の情報開示メカニズム—
2026年05月22日
2026年6月株主総会に向けた論点整理
アクティビスト投資家等による株主提案数は過去最多
2026年06月04日
2026年6月株主総会の株主提案数(速報)
2026年6月株主総会の株主提案数は101社と過去2番目の多さ
2026年06月17日
アクティビスト投資家の近時動向(2026年4月)
「変質」しつつあるアクティビスト投資家。「対話」から「交渉」に。
2026年04月09日
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2025年9月版)
「同意なき買収」時代における買収対応方針の効果と限界
2025年09月24日
なぜ中国企業は中期経営計画を開示しないのか
—制度・市場・経営環境から読み解く、中国企業の情報開示メカニズム—
2026年05月22日

