2025年04月09日
サマリー
◆2025年4月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「北陸」を筆頭に5地域で改善した一方、「中国」など4地域で悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費が「北陸」「北海道」「四国」などで改善した。「北陸」では乗用車販売や観光が改善しており、「北海道」ではさらに百貨店・ドラッグストアの売上や家電販売でも改善が見られる。「四国」ではコンビニエンスストアの売上高や家電販売が改善した。住宅投資は前回から大きな変化は見られなかった。雇用・所得環境は特に地震の影響が弱まった「北陸」で改善が顕著だった。企業関連では、対事業所サービスや輸送用機械などの改善が寄与して「九州・沖縄」で改善した。しかし、「中国」などでは輸送用機械、「中国」「東北」「北陸」「近畿」などでは宿泊・飲食サービス、「北陸」「中国」「四国」では電気機械、そして「東海」では建設や鉄鋼の影響により、企業マインド全体が悪化した。生産は、「北陸」で繊維や生産用機械が改善しており、「四国」では化学、そして「東北」では生産用機械などが改善しつつある。一方、「九州・沖縄」では鉄鋼・非鉄金属で生産が悪化している。輸出は、「北海道」で米国向け自動車部品の輸出が改善した。米国通商政策の動きを意識した駆け込み需要の影響と考えられる。設備投資は「四国」などでわずかに改善したが、「北海道」などではやや悪化した。公共投資の動向については前回から大きな変化は見られなかった。
◆全国的に見ると、これまでのところ日本経済は緩やかな回復基調にある。消費は多くの地域で堅調であり、特に家電販売や乗用車販売、そしてインバウンド客の増加やイベント関連の消費盛り上がりもあり観光業などが好調だ。しかし、米国のトランプ政権による通商政策の大きな変化を意識して、既に企業マインドの悪化が広がりつつあり、インデックスを押し下げている。こうした企業マインドの悪化が続けば、企業の投資意欲の低下につながり、これが経済全体の回復を鈍化させる可能性がある。消費は引き続き物価高の影響などにも注意が必要だろう。今後は、トランプ政権の「相互関税」が世界経済に与える影響を注視すべきだ。消費者の節約志向などが強まり、消費にも悪影響が出てくる可能性がある。地域経済を取り巻くこれら不透明感の高まりが懸念される。
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