2024年01月15日
サマリー
◆2024年1月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東海」「九州・沖縄」など7地域で改善したが、「北陸」で悪化、「東北」は横ばいだった。なお、今回は令和6年能登半島地震による影響は考慮されていない。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスは、消費は「東海」「九州・沖縄」などで改善した。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の5類移行によるマインド改善や円安の影響を受けて、人々の外出やインバウンド客が増加しており、飲食・宿泊サービスの回復などの動きがプラスに寄与した。一方、「中国」では一部の秋・冬物衣料品の販売低調や物価高などの影響で、百貨店売上高や乗用車販売が振るわず、消費が悪化した。住宅投資は前回から大きな変化はなかった。雇用・所得環境は、慢性的な人手不足の影響で「関東甲信越」で改善した。企業関連では、生産は半導体の供給制約の緩和や高水準の受注残により「東海」で大きく改善したが、「北陸」では生産用機械の弱含みや金属製品の減少で悪化した。輸出は米国向け等が堅調で「東海」「九州・沖縄」が改善したが、中国・NIEs向けの電子部品等が弱く「近畿」で悪化した。設備投資は脱炭素化、中長期的な半導体需要の増加、デジタル化等を見込んで「中国」で改善したものの、電子部品・デバイスにおける生産調整局面の長期化により「九州・沖縄」では悪化した。企業マインドは「四国」「近畿」などの地域で改善した。「四国」でははん用・生産用・業務用機械や電気機械など、「近畿」では窯業・土石製品、金属製品などがプラスに寄与した。今回、企業関連の項目を中心にやや地域差が見られる。
◆今後については、新型コロナウイルス感染症による影響がほぼ剥落し、賃金上昇やインバウンド客の増加も期待できることから、消費は緩やかな回復傾向が続くだろう。また、半導体における供給制約の一層の緩和などによる生産・輸出の改善と併せて、経済全体を押し上げる要因となりそうだ。一方で、中国の不動産不況等の影響を受けた海外経済の減速、賃金上昇ペースを上回る物価高による消費者の生活防衛意識の高まり、そして能登半島地震といったマイナスの影響が強まれば、生産・輸出や消費などを通じて景気にブレーキをかける可能性もある。全体として、各地域の経済は緩やかな改善傾向にあるが、海外動向や能登半島地震等の影響も注視しつつ、今後の地域経済の動向を見ていく必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
「九州・沖縄」「北海道」など5地域で悪化~円高などの影響で消費の勢いが弱まる
2025年7月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年07月14日
-
「中国」などで企業マインドが悪化~消費は堅調だが、先行き高まる不透明感
2025年4月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年04月09日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日


