サマリー
日本は経済大国といわれるが、男女の経済社会的な性差が大きいという問題の解決に後れを取っている。背景には男性中心型労働慣行があり、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という固定的な性別役割分担意識が今なお多くの人々に根付いている。
25~44歳の女性の非労働力人口の割合は男性のそれの6倍超であり、さらに非労働力化している就業希望女性の6割は出産・育児・介護等を理由に求職していない。就業している女性も広い意味で不本意な非正規雇用の割合が高いとみられ、また、いわゆるM字カーブのくぼみは徐々に小さくなってきたが、必ずしも健全な状況ではない。女性の貧困問題という観点からも、女性が結婚や出産を機に労働市場から退出し希望通りに就労ができないという課題や、男女間賃金格差が非常に大きいという課題に引き続き取り組む必要がある。
ただ、最近では第4次男女共同参画基本計画の策定、女性活躍推進法の施行、税制や社会保障制度の見直し論議の高まりなど、これまでになかった抜本的な検討やアクションがなされつつある。これらの動きに合わせて人々の意識が変わり、女性雇用の構造が改善していくことを強く期待したい。
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