サマリー
◆自由民主党・公明党は、2024年12月20日に2025年度税制改正大綱を公表した。少数与党として迎えた税制改正では、与党と国民民主党による事前協議が行われた。ただ、課税最低限の引上げについて合意できず、3党での合意を経ずに与党の税制改正大綱が公表された。税制改正関連法案が衆議院を通過するまで議論が続くことも予想され、今後の情勢は不透明である。
◆「103万円の壁」への対応では、課税最低限の123万円への引上げ、特定扶養控除を受けられる上限年収の150万円への引上げが示された。課税最低限の引上げ額20万円の内訳は、基礎控除を10万円引上げ、給与所得控除の最低保証額を10万円引上げ、である。年収190万円超の者の給与所得控除額の計算式は現状維持となるため、給与所得控除の減税効果が発現するのは年収190万円未満の者のみとなる。
◆防衛財源確保のための増税について、法人税とたばこ税の内容と施行時期が示された。防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度以降、法人税額から500万円を控除する措置を講じた上で税率4%の新たな付加税が課される。
◆大綱では、今後の法人税のあり方について考え方が示された。大綱では、2010年代の法人税率の引下げにつき、意図した成果を上げてこなかったとし、今後は法人税率を引き上げる方針が示されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
2012~2023年の家計実質可処分所得の推計
物価上昇の影響で全世代の実質可処分所得が減少
2024年10月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
2012~2024年の家計実質可処分所得の推計
2024年は実質賃金増と定額減税で実質可処分所得が増加
2025年04月11日
-
「103万円の壁」与党修正案の家計とマクロ経済への影響試算(第5版)
所得税の課税最低限を160万円まで引き上げる与党修正案を分析
2025年03月19日
-
平成以降の家計の税・社会保険料負担の推移
『大和総研調査季報』2025年新春号(Vol.57)掲載
2025年01月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日