2012~2023年の家計実質可処分所得の推計

物価上昇の影響で全世代の実質可処分所得が減少

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2024年10月22日

サマリー

◆2012年から2023年の賃金統計等をもとに、5つのモデル世帯を設定し、第2次安倍政権以後における家計の実質可処分所得の推移を推計した。

◆2022年から2023年にかけては、名目賃金は上昇しているものの物価上昇の影響が大きく、5つのケース全てで実質可処分所得が減少した。

◆特別給付金を除いた長期トレンドを見ると、2023年は減少したものの、「30代4人世帯」の実質可処分所得は2012年と比べて高水準にある。これは、30代有配偶女性の正規雇用での就業率が大幅に上昇し、家計全体の所得を押し上げたことが寄与している。

◆2012年から2023年にかけて物価は11.75%上昇しているため、ブラケット・クリープ(物価や賃金の上昇率を上回る比率での所得税額の増加)も実質可処分所得の押し下げ要因となっている。1995年を最後に所得税のインフレ調整が行われていないことを考慮すると、インフレ調整を検討しても良い時期に入っているといえるだろう。

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