サマリー
◆2022年12月16日に公表された「令和5年度税制改正大綱」により、グローバル・ミニマム課税の所得合算ルールが、2024年4月1日以後に開始する会計年度から適用されることが明らかになった。所得合算ルールの導入により、多国籍企業グループが、ある国で実際に負担している税率(実効税率)が最低税率である「15%」を下回る場合、最終親会社等に上乗せ課税されることになる。
◆グローバル・ミニマム課税により、実効税率が15%を下回る場合は上乗せ課税が課されるため、多国籍企業グループは実効税率が15%を下回る国に進出するインセンティブが失われる。これにより、1980年代以降各国が進めてきた、法人税の引下げ競争に歯止めがかけられることが期待される。
◆一般的に、欧米企業はタックスプランニングに、積極的である一方、日本企業は消極的といわれ、グローバル・ミニマム課税の導入により税負担が増加するケースは、欧米企業に比べて日本企業は少ないと考えられる。そのため、税引後利益の獲得能力の面で、欧米企業の競争力が低下し、相対的に日本企業の競争力が高まることが期待される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
NISA抜本的拡充は資産所得倍増を実現しうる内容
年間・累計の限度額は海外制度と比較しても遜色ない水準
2022年12月21日
-
格差固定化防止等の観点から生前贈与の相続税対象期間は3年⇒7年へ
相続時精算課税は使いやすく、贈与税非課税措置は継続
2022年12月21日
-
超富裕層に税率22.5%のミニマムタックスを導入
「1億円の壁」問題による金融所得一律増税は回避へ
2022年12月22日
-
デジタル課税・ミニマムタックスの最終合意
目標通り2023年から適用されるか、注目される
2021年10月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
「年収の壁」とされる課税最低限の引上げはどのように行うべきか
基礎控除の引上げよりも、給付付き税額控除が適切な方法
2025年12月02日
-
日本維新の会が掲げる税制関連施策
所得税インフレ調整・給付付き税額控除の議論が加速する見込み
2025年10月28日
-
若年層の実質可処分所得の超長期推計
20~34歳未婚男女につき、1980~2024年の45年間を推計
2025年10月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

