サマリー
◆2021年10月8日、経済協力開発機構(OECD)で検討が進められてきた、いわゆるデジタル課税とミニマムタックスの主要な項目について最終合意に至った。2023年からの導入を目指すこととされた。
◆デジタル課税は、インターネットを通じて海外にサービスが提供できるようになったことを受け、自国に支店や工場等(PE)がない外国企業の事業所得には課税できないという国際課税の原則を見直し、PEがなくても市場国に課税権を認めるものである。最終合意では、デジタル課税の対象は、売上高200億ユーロ超で利益率10%超の多国籍企業グループ(資源関連・金融業を除く)とされた。全世界で100社程度が対象となる見込みであり、日本企業はごくわずかと予想される。
◆一方、ミニマムタックスは、実際に負担している税率(実効税率)が「最低税率」を下回る場合に、本国の親会社等に上乗せ課税を行うものである。最終合意では、最低税率の水準は「15%」とされ、収益額7.5億ユーロ超の多国籍企業グループ(国際海運業を除く)が対象とされた。ミニマムタックスにより、各国が外資誘致のため、税率を引き下げたり、優遇税制を設けたりする動きに歯止めがかけられることが期待される。
◆今後、デジタル課税については多国間条約の締結、ミニマムタックスについては各国国内法の整備により導入される予定である。米国は条約に関する議会承認が国内法よりもハードルが高いため、目標通り、デジタル課税が2023年から適用されるか注視する必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
NISA:つみたて投資枠を未成年に解禁
2026年度税制改正大綱解説(1)NISA改正(こどもNISA)
2026年01月16日
-
確定申告しない株式譲渡所得等の後期高齢者医療制度の保険料等への反映
社会保障審議会医療保険部会が改正方針を示す
2026年01月07日
-
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

