サマリー
◆2017年12月14日、自由民主党・公明党は「平成30年度税制改正大綱」(大綱)を公表した。本稿は、大綱における大企業に係る法人税の改正について解説する。
◆大綱では、賃上げと生産性向上を実現するため租税特別措置(租特)を見直すとした。所得拡大促進税制・研究開発税制・地域未来投資促進税制の要件等が見直され、新たに情報連携投資等促進税制を創設するとした。これら4つの生産性向上に関連する租特(生産性4租特)により、最大で法人税額の90%の税額控除が可能となる。
◆2016年度の税制改正により、2018年度から法定実効税率(標準税率による、以下同じ)は29.74%に引き下げられる。大綱による改正後の所得拡大促進税制と情報連携投資等促進税制を最大限活用した場合、これらを考慮した実効税率は20.39%となり、OECDやアジア諸国等と十分競争できる水準になる。もし仮に生産性4租特をフル活用できたとすると、実効税率は8.70%まで下がることとなる。
◆所得拡大促進税制を適用するには、継続雇用者の平均年収ベース(賞与、残業代等を含む)で対前年比3%以上の賃上げが求められる。労働基準法の改正等も考慮すると、企業には、生産性を向上して残業時間を削減し、かつ、残業代の削減分以上の賃上げを行って、従業員の年収を引き上げていくことが求められている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
事業承継税制の拡充・資産税逃れ対策等
平成30年度税制改正大綱解説④—相続関係税制編
2018年01月26日
-
2018年度税制改正で所得税はどう変わるか
平成30年度税制改正大綱解説⑤-所得税編
2018年01月26日
-
2018年以降の制度改正予定(税制編)
2018年01月09日
-
外国税額控除の改正で投信のリターンが改善する
平成30年度税制改正大綱解説③-証券・金融税制編
2017年12月29日
同じカテゴリの最新レポート
-
飲食料品消費税率引下げによる事業者への影響
税制や予算の特例により事業者への影響を抑える方針
2026年10月14日
-
国債保有優遇・NISA利便性向上を要望
金融庁・令和9年度税制改正要望
2026年09月17日
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
最新のレポート・コラム
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
-
「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」における金融経済教育に関する記述
金融経済教育関連に限ると、大幅な拡充は行われない方向性か
2026年10月16日
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
-
成長投資の先にあるもの ~AI時代に問われる「組織能力」~
2026年10月16日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

