2024年06月28日
サマリー
◆2024年4月3日、岸田首相は、より多くの企業において有価証券報告書の開示が株主総会前のタイミング(総会前提出)となるよう、金融庁を中心に関係省庁と連携して検討を進める方針を明らかにした。
◆有価証券報告書の総会前提出をめぐっては様々な取組みが行われてきた。しかし、12月決算の東証上場会社の2023年事業年度の定時株主総会を調べると、530社のうち実施しているのは8社にとどまるなど、成果が上がっているとは言い難い。
◆有価証券報告書の総会前提出を実施するための対応としては、会社法の特例を活用して、有価証券報告書で(会社法上の)株主総会資料を代用した上で、提出を前倒しする対応、有価証券報告書の提出時期はそのままに、定時株主総会の開催を後ろ倒しする対応などが考えられるが、いずれも一長一短ある。加えて、サステナビリティ開示や英文開示への対応も考慮する必要がある。
◆今後、総会前提出の実現を速やかに目指すことが期待されるが、その具体的な対応については、特定の対応策を画一的に当てはめるよりも、複数の対応策から事情に応じて選択可能として、定時株主総会の日程も4~8月に幅広く分散した方が、本来の目的である機関投資家と上場会社の建設的な対話の深化にもつながるのではないかと思われる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
小規模投資信託削減のための約款変更・繰上償還がより容易に
投信法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)の公表
2025年05月14日
-
英国が非上場株式の流通市場を創設へ
非上場株式のセカンダリー取引を促進する「PISCES」とは
2025年04月03日
-
外為法の対内直接投資審査制度の改正案
中国関連組織が投資する場合を念頭に、審査対象となる範囲を拡大
2025年03月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日