2014年12月11日
サマリー
◆2014年12月1日より、投資信託制度の改革が実施されている。
◆本稿では、当該改革のうち、投資信託の運用規制強化(投資信託の運用財産の内容(リスク量)についての制限)の概要を簡潔に説明する。
◆従来、投資信託の運用財産の内容(リスク量)についての制限としては、内閣府令におけるデリバティブ取引に係るリスクの制限、投資信託協会の規則における投資対象等への一定の制限に限られていた。
◆しかし、ファンド・オブ・ファンズの普及等を通じて、商品の複雑化・リスクの複合化が進行しており、さらに、大きな信用リスクを抱えたいわゆる仕組債型の投資信託も存在している状況にあって、このような複合化したリスクや信用リスクを、説明・開示によってあらかじめ投資家に認識させることは困難である。また、そうしたリスクの軽減・分散が不十分な場合には、投資家にとって突発的・不連続な損失が発生し得る。
◆そこで、そうしたリスク量をあらかじめ制限するような仕組みを構築する観点から、今般の投資信託制度の改革では、投資運用業に関する禁止行為として、その受益証券の取得の申込みの方法が公募の方法により行われている委託者指図型投資信託に係る運用財産に関し、信用リスクを適正に管理する方法としてあらかじめ金融商品取引業者等が定めた合理的な方法に反することとなる取引を行うことを内容とした運用を行うことを追加し、信用リスクの分散を求めることとした。
◆本稿で取り上げた、投資信託の運用規制強化に係る改正は、2014年12月1日から実施されている。
◆ただし、「信用リスクの分散」については、2014年12月1日時点で現に運用が行われている運用財産の場合、2014年12月1日から起算して5年間の経過措置が設けられている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
いよいよ適用開始 投信制度改革 投資信託運営の効率性の向上
2014年12月10日
-
いよいよ適用開始 投信制度改革 目論見書・運用報告書などの見直し
手数料情報、リスク情報、運用報告書の二段階化
2014年12月08日
-
いよいよ適用開始 投信制度改革 トータルリターン通知制度
顧客ごと・銘柄ごとのトータルリターンの年1回以上の通知が義務化
2014年12月08日
-
いよいよ適用開始 投信制度改革(全体像)
12月1日からスタート
2014年12月08日
同じカテゴリの最新レポート
-
議決権行使助言業者規制を明確化:英FRC
スチュワードシップ・コード改訂で助言業者向け条項を新設
2025年06月10日
-
テキサス州による議決権行使助言業者規制
財務的利益以外の要素を考慮する助言である場合、その説明を求める
2025年06月03日
-
日米で共通する株主提案・議決権助言の課題
米国BRTが株主提案権と議決権行使助言業に関連する制度改正を提言
2025年05月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日