MiFIDⅡ・MiFIRによる投資者保護規制強化の概要

特に、リテール向け仕組み金融商品に関して適合性原則を徹底

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サマリー

◆2014年6月にEUは、MiFIDⅡ、MiFIRを公布した。MiFIDⅡ・MiFIRにおいては、投資者保護規制および金融当局による商品への停止等命令(intervention)について、リテール向け仕組み金融商品の問題を意識した条項が設けられている。細則については、委任規定(delegated acts)で定めることとされており、ESMAが委任規定の制定に向けたコンサルテーション・ペーパー(CP)を公表し、意見募集中である。


◆MiFIDⅡ、MiFIRの規定および、委任規定に関するESMAのCPによる提案が成案となり施行されると、仕組み金融商品の組成時の適合性原則が徹底され、費用・手数料の開示と適合性報告書の提供が義務付けられる。また、金融機関がこれらを遵守しないなど投資者保護に重大な懸念があると金融当局が判断した際には、当該仕組み金融商品・サービスの販売を停止したり制限したりできるようになる。


◆これらの重層的な規制によって、金融機関がリテール顧客に仕組み金融商品を販売する際には、当該顧客が十分に商品の性質を理解し、顧客に適合した商品が販売される状況が担保されるようになるものと考えられる。


◆一方で、規制の強化により金融機関が仕組み金融商品を組成・販売する際のコストは大幅に増加するものと考えられる。規制の強化によって、金融商品の多様性が損なわれることも懸念される。

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