2014年09月16日
サマリー
◆2014年6月にEUは、MiFIDⅡ、MiFIRを公布した。MiFIDⅡ・MiFIRにおいては、投資者保護規制および金融当局による商品への停止等命令(intervention)について、リテール向け仕組み金融商品の問題を意識した条項が設けられている。細則については、委任規定(delegated acts)で定めることとされており、ESMAが委任規定の制定に向けたコンサルテーション・ペーパー(CP)を公表し、意見募集中である。
◆MiFIDⅡ、MiFIRの規定および、委任規定に関するESMAのCPによる提案が成案となり施行されると、仕組み金融商品の組成時の適合性原則が徹底され、費用・手数料の開示と適合性報告書の提供が義務付けられる。また、金融機関がこれらを遵守しないなど投資者保護に重大な懸念があると金融当局が判断した際には、当該仕組み金融商品・サービスの販売を停止したり制限したりできるようになる。
◆これらの重層的な規制によって、金融機関がリテール顧客に仕組み金融商品を販売する際には、当該顧客が十分に商品の性質を理解し、顧客に適合した商品が販売される状況が担保されるようになるものと考えられる。
◆一方で、規制の強化により金融機関が仕組み金融商品を組成・販売する際のコストは大幅に増加するものと考えられる。規制の強化によって、金融商品の多様性が損なわれることも懸念される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
顧客本位の業務運営に関する原則の公表
フィデューシャリー・デューティーのプリンシプル
2017年05月17日
-
フィデューシャリー・デューティー、HFT、PTS信用取引などを巡る市場WG報告書の概要
2017年01月05日
-
MiFIDⅡによるアルゴリズム取引、HFT規制の概要
2014年09月02日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日