リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)の現状2021

RAFの高度化の余地、とりわけ「地方銀行・第二地方銀行」に

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2019年の制度改正により、「持続可能な収益性」に改善が必要な地域金融機関については、業務改善命令に基づき、ビジネスモデルの見直しが求められる可能性がある。

◆そのため、金融庁によるモニタリングに際して、地域金融機関は、「リスクアペタイト・フレームワーク」(RAF)の導入・活用を奨励されることが見込まれる。

◆本稿では、こうした制度改正後、二度目の決算期を踏まえたディスクロージャー誌を参考に、日本国内の金融機関等におけるRAFの導入状況(2021年3月末時点)を調査・報告する。

◆調査によると、昨年度(2020年3月末時点)よりは大きく伸びているものの、「地方銀行・第二地方銀行」における導入割合の低さが際立つ結果となっている。また、RAF導入の趣旨である「資本効率の向上」の指標と位置付けられることもあるROE(中央値)についても、昨年度に引き続き、「地方銀行・第二地方銀行」が最も低い。

◆ここ数年厳しい経営環境が続いている「地方銀行・第二地方銀行」では、RAFの導入・活用やその高度化に大きな余地が残されている。そうしたなかで、拠点としている地域の経済を支えるべく、例えば、「地元の」サステナビリティ問題や新型コロナウイルス感染症問題、さらには「地元の」DX強化への取組みという形でリスクテイクしていくことは、地域金融機関としての存在意義を示す重要な指針となり得るのではないだろうか。

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