バーゼル委、マーケット・リスクの改定(速報版)

【BCBS最終規則】上場株式はトレーディング勘定で公正価値評価

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  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2016年1月14日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、最終規則文書「マーケット・リスクの最低所要自己資本」(最終規則文書)を公表している。


◆最終規則文書は、三度の市中協議を経た「トレーディング勘定の抜本的見直し」により、バーゼル規制上のマーケット・リスクの枠組みを改定するものである。


◆最終規則文書の主要な特徴は、①内部モデル方式の改定、②標準的方式の改定、③期待ショートフォールの導入(バリュー・アット・リスク(VaR)の廃止)、④市場流動性リスクの包括的勘案、⑤トレーディング勘定と銀行勘定の境界の見直し、の5点である。


◆BCBSが実施した影響度調査(最終規則文書が2015年6月末に完全実施されたと仮定)によると、現行の枠組みではマーケット・リスク相当額がリスク・アセット全体に占める割合は約6%であるのに対して、最終規則文書による改定後の枠組みではその割合は10%弱となる。また、最終規則文書による改定後のマーケット・リスクの総所要自己資本は、現行の枠組みと比して、中央値では22%(加重平均では40%)増加すると見込まれている。


◆最終規則文書によると、現行のマーケット・リスクの枠組みとは異なり、上場株式は原則としてトレーディング勘定に割り当て、公正価値評価を日次で行い、その変動を損益計算書(P&L)にて認識しなければならないこととされている。この変更は、銀行によっては小さくない影響をもたらすものと思われる。


◆銀行は、2019年12月31日までに、最終規則文書に基づく報告をしなければならない。

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