2014年01月28日
サマリー
◆2013年10月31日、バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)は、トレーディング勘定の資本賦課に係る抜本的見直しの第2次市中協議文書、「トレーディング勘定の抜本的見直し:マーケット・リスク枠組みの改定」(第2次市中協議文書)を公表している(コメント提出期限は2014年1月31日)。
◆第2次市中協議文書は、バーゼル委が2012年5月3日に公表した市中協議文書、「トレーディング勘定の抜本的見直し」(第1次市中協議文書)にて提案されたアプローチをより詳細にするとともに、新しいマーケット・リスクの枠組みに関する規則文書案を提示している。
◆そこで、計4回に分けて、第2次市中協議文書の内容を簡潔に紹介する。第1回となる本稿のテーマは、マーケット・リスク枠組み全般に係る改定案である。
◆とりわけ影響度が大きいと思われる改定案として、次の2つが指摘されている。
◆1つは、市場流動性リスクを包括的に勘案するという提案である。この提案は、流動性の低い商品をトレーディング勘定にて保有することを敬遠させるものといえる。この提案により、流動性の高い資産の「奪い合い」が生じるとすれば、市場流動性が逼迫するのではないかという懸念がある。
◆いま1つは、(内部モデル方式採用行を含む)全ての銀行に対して標準的方式による所要自己資本の開示を義務付けるという提案である。この提案には、とりわけ、内部モデル方式採用行において、内部モデル方式による所要自己資本が標準的方式によるそれよりも著しく低い場合には、投資家による慎重な判断を促す効果があるといえる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
バーゼル委、マーケット・リスクの改定(速報版)
【BCBS最終規則】上場株式はトレーディング勘定で公正価値評価
2016年01月20日
-
トレーディング勘定の抜本的見直し②
【バーゼル委第2次市中協議文書】内部モデル方式の改定案
2014年05月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日