2015年09月04日
サマリー
◆2015年7月1日、バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)は、CVAリスクの枠組みの見直しに関する市中協議文書を公表している(コメント提出期限は2015年10月1日)。
◆市中協議文書の目的は、①CVAリスクのすべての重要な変動要因とCVAヘッジが自己資本比率規制においてカバーされること、②自己資本比率規制を会計基準の下で採用されているCVAの公正価値測定と一致させること、そして③「トレーディング勘定の抜本的見直し」(FRTB)の下でのマーケット・リスクの枠組みに対する見直しの提案と整合性を確保することの三つにある。
◆具体的な影響度は測りかねるが、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)のスコット・オマリア最高経営責任者(CEO)によると、市中協議文書の提案はCVAリスクの所要自己資本額の増額をもたらしそうだという。
◆また、所要自己資本額の増減の問題を抜きにしても、市中協議文書の提案はバーゼルⅢにおけるCVAリスクの取扱いを全面的に刷新するものであることから、銀行の規制対応コストの増加は免れないであろう。
◆なお、バーゼル委は、2015年中に市中協議文書の提案の影響度調査(QIS)を実施する。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日