2025年03月28日
サマリー
◆経済産業省の研究会と関西経済連合会から、会社法改正の提案書が相次いで公表された。
◆それぞれ多くの事項の改正を提案しているが、ともに株主提案権制度を含んでいる。現行の会社法では、300個以上の議決権を有する者に株主提案権を付与しているが、この撤廃が要望されている。
◆株主提案権は、1981年商法改正によって創設されたが、当時から300個の要件に対しては、反対が強かった。近年の株式市場の規制変化によって、300個の議決権の価格は低下しており、株主提案が以前よりも容易にできるようになっている。
◆日本以上に株主提案が容易にできる米国では、全米の株主提案のおよそ3分の1を3人の個人投資家が出しており、濫用的な行使が疑われている。
◆しかし、300個要件の趣旨は、個人株主による株主提案を可能にすることにある。これを撤廃すると、個人株主による株主提案はほぼ不可能になるので、改正はかなり難しいのではないかと思える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
少額投資制度に漂う危惧感
単元株数が1株になると株主総会の政治化や株主提案権濫用の恐れ
2024年08月23日
-
株主提案制度にコスト/ベネフィット分析を
世界で最もアクティビスト・ファンドにとって使いやすい日本の株主提案制度
2024年05月09日
-
アクティビストの道具としての株主提案
上場会社にとって手強い相手となったアクティビスト・ファンド
2023年02月24日
同じカテゴリの最新レポート
-
2026年は株主提案激減?政府閉鎖の影響
米国SECは株主提案を受けた企業からの除外申請を無審査とする方針
2025年11月25日
-
株主提案制度は激変へ:米SEC委員長発言
株主提案権に関する規定が州会社法にないなら会社側は拒絶可能
2025年10月29日
-
不行使議決権は会社のもの
株主総会を変えるエクソンモービルの個人株主議決権行使プログラム
2025年10月07日


