生成AIに関する独占禁止法上の論点

競争政策の最前線はデジタルプラットフォームから生成AIへ

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  • 金融調査部 研究員 谷 京

サマリー

◆各国の競争当局は、デジタルプラットフォームや生成AIに対する関心を高めている。欧米では巨大テック企業への調査や制裁が進行中で、2024年10月のG7競争サミットでは「デジタル競争共同宣言」が採択された。また、日本の公正取引委員会(公取委)も生成AI関連市場の調査を開始し、独占禁止法上の論点を整理するディスカッションペーパーを公表した。

◆生成AI関連市場の市場構造は、インフラストラクチャー、モデル、アプリケーションの三つのレイヤーからなる。計算資源や専門人材の集中、生成AIプロダクトと既存のデジタルサービスの機能統合、巨大テック企業とスタートアップ企業の連携といった生成AI関連市場の特徴は、公正かつ自由な競争のリスクとなる可能性がある。

◆ディスカッションペーパーでは、生成AIをめぐる独占禁止法上の論点として、①アクセス制限・他社排除、②自社優遇、③抱き合わせ、④生成AIを用いた並行行為、⑤パートナーシップによる高度専門人材の獲得の五つが挙げられた。公取委は2025年春を目途に、生成AIに関する独占禁止法上の考え方を示す予定としており、情報のアップデートが注目される。

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