グリーン社会の実現に向けた企業活動と独占禁止法

改定グリーンガイドラインの要点と今後の展望

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  • 金融調査部 研究員 谷 京

サマリー

◆近年、グリーン社会の実現に向けた事業者間の連携を模索する動きがあるが、独占禁止法への抵触を懸念する声も根強い。そこで、公正取引委員会は「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(グリーンガイドライン)を改定し、グリーン社会の実現に向けた企業活動(以下、グリーン化活動)と競争政策の関係を包括的に整理した。

◆改定グリーンガイドラインは「共同の取組」、「取引先事業者の事業活動に対する制限及び取引先の選択」、「優越的地位の濫用行為」、「企業結合」という四つの行為類型について、豊富な想定例を交えつつ、それぞれの企業活動が独占禁止法上問題となるか否かを検討している。全体としては「グリーン社会の実現に向けた事業者等の取組は基本的に独占禁止法上問題とならない場合が多い」との見解が示されているものの、優越的地位の濫用行為については慎重な記述も目立つ。

◆今後の論点としては、独占禁止法の適用除外制度が挙げられる。公正取引委員会は適用除外制度の導入に消極的であるが、グリーン化活動の独占禁止法への抵触を懸念する事業者の声も根強い。今後の対応として、グリーンガイドラインの再改定や相談事例等の積極的な公表が示唆されており、情報のアップデートに留意すべきである。

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