サマリー
◆4月の非農業雇用者数は前月差11.5万人増と市場予想を下回り、半年ぶりの増加幅にとどまった。過去分の上方修正を加味すれば雇用者数の水準は予想外とまではいえないが、むしろ上方修正によって増加ペースが大きく鈍化している印象を強めている。政府部門のマイナス幅が拡大したうえに、民間部門の雇用者数は13.0万人増と、過去3ヶ月の平均23.2万人増から大幅に縮小。4月は、小売が3ヶ月ぶりに増加に転じ専門・企業向けサービスも勢いを取り戻したものの、運輸が9ヶ月ぶりに減少した他、これまで好調だった製造業やレジャー・接客業、教育・医療サービス等の増加幅が縮小したことが全体のペースダウンにつながっている。
◆4月の失業率は8.1%と2009年1月以来の低水準になり、Fedが想定するように緩やかに低下している。ただ、働き口が増えたというよりも、仕事を探すことを諦めた人が増えたために下がった面が強く、あまりポジティブには評価できず、Fedメンバーも悩ましいだろう。また、解雇等の非自発的離職や長期失業者は引き続き減少しているが、フルタイム従業員が減少に転じ、経済的理由のパートタイム従業員が再び増加する等、雇用環境の質の悪化を示唆する点もみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
米経済見通し またギリシャか、欧州か…
内憂外患を抱えた状況は変わらず、良くも悪くもあまり期待しなければいい
2012年05月18日
-
米経済見通し 2012~13年の下ブレ・上ブレ要因
住宅市場の急回復の蓋然性
2012年01月20日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日