サマリー
◆2025年の米国経済は、トランプ第二次政権発足後の関税強化や移民抑制策を背景に、景気・物価情勢が大きく揺れ動いた。それに伴い、金融政策運営も二転三転を余儀なくされた。FRBは2024年に利下げ局面へ転じたものの、2025年前半はインフレ再燃を警戒してFF金利を据え置いた。他方で、夏場以降は雇用悪化への懸念から再び利下げへと舵を切り、合計0.75%ptの利下げを実施した。では、2026年の金融政策運営はどうなるか。本稿では2026年の金融政策運営を巡る注目点を四つ取り上げ、分析した。
◆2026年の注目点の一つ目は利下げのタイミングだ。直近のドットチャートでは、FOMC参加者の見解は大きく割れている。背景にはインフレ抑制を優先すれば雇用が犠牲になり、雇用を重視すればインフレが高進しかねないというFRBのジレンマがある。FOMC参加者のリスク認識を見ると、足元ではインフレよりも雇用悪化を重視する傾向が強く、2026年4-6月期以降は利下げが実施されやすい環境が整うと考えられる。
◆二つ目の注目点は利下げ幅だ。中立金利は3%前後と見込まれ、現在の政策金利はその上限近辺に位置する。2026年の利下げ幅は0.50%pt程度が現実的だろう。続いて、中立金利そのものが変化し得るというのが三つ目の注目点だ。移民抑制による労働投入の減少は潜在成長率を押し下げる一方、AI活用による生産性向上はこれを押し上げる可能性がある。足元ではFOMC参加者内でも生産性改善を見越した成長率予想の上方修正が進んでおり、中立金利が上振れする可能性がある。
◆四つ目の注目点は、2026年5月に控えるFRB議長交代だ。トランプ大統領は利下げ推進派を次期議長に指名する可能性が高く、大幅利下げに向けた政治的介入が強まり得る。景気を十分に考慮せずに利下げが進められれば、期待インフレ率の安定が損なわれ、結果的にインフレ率が不安定化するリスクがある点に注意を要する。
◆以上をまとめれば、2026年の金融政策を見通す上で、ドットチャートの数値に拘泥せず、中立金利を巡る構造変化や次期議長人事がもたらす影響を含め、総合的に点検する姿勢が不可欠といえよう。
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