サマリー
◆下ブレリスクとしては、年前半は海外要因である欧州問題が、年後半にかけては国内の政治動向が先行きの不透明さを増すことになろう。後者の場合、11月に選挙が控えているためにそもそも機動的な政策対応が期待できないなか、現行制度のままでは、ブッシュ減税の終了や強制的な歳出カットなど2013年に入って公的セクターが経済成長を抑制してしまう。早々に対応が決まればベストだが、ねじれ議会ではその実現は困難であり、選挙後の2ヶ月間にレームダック状態の大統領・議会が対処しなければいけないというケースも想定する必要があろう。
◆国内外の下ブレリスクがなかなか払拭できない状況では、上ブレシナリオは描きにくい。ただ、上ブレ要因になりうるとしたら住宅市場の急回復であろう。人口構成上、住宅に対する潜在需要があるなか、長期にわたる調整局面を経て漸く変化の兆しがみられ始めている。ただ、その動きを加速させるためには、Fedによる金利引き下げ努力だけでは不十分であろう。借りたい人・借り換えたい人が低金利の恩恵を享受できるような環境整備が求められている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
米経済見通し 2012年、すっきりしない自律回復
燻り続ける欧州危機、国内的には大統領選挙を念頭に駆け引きが続く
2011年12月20日
-
特殊要因はあるが、米国雇用環境は改善し続ける
2011年12月の雇用統計:非農業雇用者数は20万人増、失業率は8.5%
2012年01月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+13.9万人
2025年5月米雇用統計:緩やかな悪化に留まっていることを示唆
2025年06月09日
-
米国経済見通し 米中デタントも、景気は減速へ
財政悪化と学生ローン政策の変更が景気を一層減速させるリスク要因
2025年05月23日
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日