サマリー
◆11月の非農業雇用者数は前月差12.0万人増と市場予想には僅かに届かなかったが、過去2ヶ月分が7.2万人分も上方修正された点を考慮すると、雇用環境は底堅く改善しているといえよう。景気後退懸念を概ね払拭する内容だが、オバマ大統領や金融当局にとってはまだ十分なペースではないかもしれない。注目される民間部門は14.0万人増とコンスタントに増加。政府部門は労働市場の足を引っ張り続けており、民間部門では、建設業が不振だが、小売や専門・企業向けサービスや教育・健康サービス、レジャー・接客業などサービス部門が拡大している。ただ、雇用者数は相対的に低賃金のセクターで増えているために、賃金水準(平均)は伸び悩んでいる。依然として企業側優位の労働市場であり、一部のセクターや職種を除くと、採用に慎重な企業は待遇条件を大幅に引き上げなくても必要な人数を確保できている。
◆11月の失業率は8.6%と前月から0.4%ポイントも低下し、2年8ヶ月ぶりの低水準に。4月以降の9.0~9.2%という狭いレンジを大きく突き破った形であり、Fedが11月に公表した2012年の失業率見通しを一年も前倒しで達成したことになる。だが、ポジティブな要素とネガティブな要素がともに失業率低下に作用しているため、失業率の改善を額面通りに受け取ることはできない。前月に引き続き、経済的理由のパートタイム従業員の減少、解雇等の非自発的離職の減少、長期失業者の減少などは雇用環境の改善を示唆するが、一方で、労働市場からの退出が加速した結果、見かけ上、失業率が大幅に下がったともいえよう。過大評価は禁物である。
◆11月の失業率は8.6%と前月から0.4%ポイントも低下し、2年8ヶ月ぶりの低水準に。4月以降の9.0~9.2%という狭いレンジを大きく突き破った形であり、Fedが11月に公表した2012年の失業率見通しを一年も前倒しで達成したことになる。だが、ポジティブな要素とネガティブな要素がともに失業率低下に作用しているため、失業率の改善を額面通りに受け取ることはできない。前月に引き続き、経済的理由のパートタイム従業員の減少、解雇等の非自発的離職の減少、長期失業者の減少などは雇用環境の改善を示唆するが、一方で、労働市場からの退出が加速した結果、見かけ上、失業率が大幅に下がったともいえよう。過大評価は禁物である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
景気認識を上方修正したFedは様子をみることに
欧州の債務問題を著しい下ブレリスクとして、一段と強調
2011年12月14日
-
特殊要因はあるが、米国雇用環境は改善し続ける
2011年12月の雇用統計:非農業雇用者数は20万人増、失業率は8.5%
2012年01月10日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日