景気認識を上方修正したFedは様子をみることに
欧州の債務問題を著しい下ブレリスクとして、一段と強調
2011年12月14日
サマリー
◆12月13日にFOMCが開催され、政策金利を事実上のゼロ金利で据え置く方針を確認した。そして、この異例なほど低い金利水準を少なくとも2013年半ばまで続けるという、8月に導入した方針を維持した。さらに、9月に決定した、短期国債を売って長期国債を買うことで保有する国債の平均残存期間を長期化するプログラム(オペレーション・ツイスト)を継続することも決定した。つまり、11月に続いて、現行政策を維持して様子をみることになった。◆景気の現状認識では、欧州をはじめとした世界経済が減速するなかで、米国の景気は緩やかに拡大していると総括している。個別の項目では、前回まで弱いと評価していた雇用環境に改善の兆しがみられると上方修正している。一方で、企業の設備投資の伸びはこれまでほど強くないと指摘。経済見通しについては、緩やかな成長が続くと前回と同じ見方を示したものの、見通しに“著しいダウンサイドリスクがある”点も払拭されていない。これまでは、リスクの一つとして指摘されていた国際金融情勢、すなわち欧州の債務問題が、リスクそのものであると強調している。裏を返せば、対外要因を除くと、国内的には目立ったリスクはないということかもしれない。雇用環境の改善を受けて、様子見の時間が担保された格好である。引き続き、情勢に応じて追加措置を採るというスタンスだが、彼らの見通しから大きく逸脱することがその前提になろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2011年11月04日
Fed、現行政策を維持し状況を注視することに
景気の先行きに著しく下ブレリスクは残ったまま
-
2011年12月05日
米雇用環境は改善、但し失業率低下は話半分に
11月の米国雇用統計:非農業雇用者数は12万人増、失業率は8.6%
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2022年07月05日
ロシア国債デフォルト騒動の本質
返済能力も意思もあるロシア政府は徹底抗戦の構え
-
2022年07月04日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
-
2022年07月01日
2022年5月雇用統計
失業率は4カ月ぶりに上昇するも、均して見れば雇用環境は改善傾向
-
2022年07月01日
2022年6月日銀短観
外部環境悪化と国内経済活動再開が製・非製の業況の明暗を分ける
-
2022年07月05日
金融サービスにおける「ナッジ」活用の功罪
よく読まれているリサーチレポート
-
2022年05月06日
FOMC 0.50%ptの利上げとQTの開始を決定
少なくとも7月のFOMCまでは毎回0.50%ptの利上げが続く見込み
-
2022年04月21日
日本経済見通し:2022年4月
資源高と「悪い円安」が重石に/日米で異なるインフレの特徴
-
2022年03月22日
日本経済見通し:2022年3月
ウクライナ情勢の緊迫化による日本・主要国経済への影響
-
2022年05月24日
中国:ゼロコロナ政策下の中国経済の行方
年後半は明確に回復も22年は4.5%程度の実質成長にとどまると予想
-
2022年04月22日
景気は良いのか悪いのか