サマリー
◆2023年6月の訪日外客数は207万人と、2019年同月の72%の水準まで回復した。ただし中国人訪日客に限れば同24%にとどまり、「伸びしろ」は依然として大きい。また、最近は円安の効果もあって訪日外客1人あたり消費額は大幅に増加しており、新型コロナウイルス感染拡大前比で3~5割ほど増加した国・地域が多い。2023年4-6月期の実質インバウンド消費額は2019年10-12月期以来の4兆円台を回復し、同時期の実質GDP成長率を押し上げた可能性が高い。
◆当社の直近の経済見通しでは、2023年7-9月期からの中国人訪日客数の本格回復を想定していた。だが、中国政府による日本への団体旅行の解禁が当面見送られる可能性が高まっている。2019年で中国人訪日客の7割程度を占めた個人旅行客においても、旅行先として日本以外の国・地域を選ぶ中国人の割合が感染拡大後に高まっており、経済正常化後も継続する可能性がある。
◆上記を踏まえ、当社のインバウンド見通しを下方修正した。新たなメインシナリオでは、不確実性が大きいものの、中国から日本への団体旅行が2024年初めに解禁されると想定した。直近の実績値も反映させた訪日外客数は、2023年で2,350万人(従来シナリオ対比▲130万人)、2024年で3,130万人(同▲90万人)と見込む。また、団体旅行が予測期間中に解禁されず、旅行先として日本が選ばれにくい状況が継続するリスクシナリオでは、2024年で2,990万人(同▲230万人)と見込む。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2023年6月
経済安保面で高まりつつある「中国リスク」と国内投資活発化の課題
2023年06月21日
-
日本経済見通し:2023年5月
経済見通しを改訂/「好材料」の増加で安定性を増す日本経済
2023年05月24日
-
日本経済見通し:2023年4月
金利が上昇したら日本経済はどうなるか
2023年04月20日
-
日本経済見通し:2023年3月
2023年春闘では大幅ベアに/物価高の中でも好調な企業収益の背景
2023年03月22日
-
日本経済見通し:2023年2月
経済見通しを改訂/日銀は新執行部の下でも緩和路線を当面継続か
2023年02月22日
-
日本経済見通し:2023年1月
急回復するインバウンドと関心が高まる金融政策の先行き
2023年01月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2025年5月号(No.462)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年04月24日
-
「相互関税」騒動と日本の選択
2025年04月24日
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日