2021年01月20日
サマリー
◆約1年ぶりに改訂した今回の中期予測では、新型コロナウイルスが人類の脅威でなくなる「ポストコロナ時代」を見据えた世界経済と日本の経済・財政の今後10年(2021~30年度)の姿を展望する。さらに、日米欧中などが目指している温室効果ガス排出量の実質ゼロ化の経済的意義と課題について検討する。
◆今後10年間の世界経済は、2021年央から2023年にかけてワクチンが普及するとの想定の下、年率3.5%の成長を見込む。予測期間の前半は、コロナショックによる落ち込みからの反動に加え、財政・金融政策や、米中貿易摩擦の緩和がサポート要因となり、同3.9%と高めの成長を見込む。後半は同3.1%と、財政健全化や金融政策の正常化が進む中で、潜在成長率並みの成長に回帰しよう。
◆今後10年間の日本の実質GDP成長率を年率1.4%と予想する。世界経済見通しと同様、予測期間の前半の成長率が高く、同1.8%を見込む。後半は金融緩和の終了や人口減少の加速などにより、同1.0%に低下する。コロナショックによる潜在成長率への影響は限定的とみられ、今後はデジタル化の加速やグリーン分野の投資拡大などが期待される。コロナ危機対応費の急増で財政は大幅に悪化する見通しだ。2025年度のPBはGDP比▲3.5%と、財政健全化目標の達成は極めて厳しい。
◆世界的なグリーン化への取組の加速は、一時的・短期的な現象ではなく、中長期的な構造変化と捉えるべきである。2020年12月に取りまとめられた「グリーン成長戦略」は、今後30年間にわたり日本の実質GDPの水準を1.2%程度押し上げると試算される。他方、中長期的にはCO2削減の限界費用が増加し、経済と環境の好循環が機能しなくなるリスクがある。政府が検討を再開するカーボンプライシングは各産業に異なる影響を与えるため、今後の議論に注目する必要がある。
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