2021年01月20日
サマリー
- ① 今後10年間の世界経済(p.2~)
今後10年間の世界経済は、2021年央から2023年にかけてワクチンが普及するとの想定の下、年率3.5%の成長を見込む。予測期間の前半は、コロナショックによる落ち込みからの反動に加え、財政・金融政策や、米中貿易摩擦の緩和がサポート要因となり、同3.9%と高めの成長を見込む。後半は同3.1%と、財政健全化や金融政策の正常化が進む中で、潜在成長率並みの成長に回帰しよう。 - ② 日本経済と財政の中期見通し(p.8~)
今後10年間の日本の実質GDP成長率を年率1.4%と予想する。世界経済見通しと同様、予測期間の前半の成長率が高く、同1.8%を見込む。後半は金融緩和の終了や人口減少の加速などにより、同1.0%に低下する。コロナショックによる潜在成長率への影響は限定的とみられ、今後はデジタル化の加速やグリーン分野の投資拡大などが期待される。コロナ危機対応費の急増で財政は大幅に悪化する見通しだ。2025年度のPBはGDP比▲3.5%と、財政健全化目標の達成は極めて厳しい。 - ③ 温室効果ガス実質ゼロ化の経済的意義と課題(p.20~)
世界的なグリーン化への取組の加速は、一時的・短期的な現象ではなく、中長期的な構造変化と捉えるべきである。2020年12月に取りまとめられた「グリーン成長戦略」は、今後30年間にわたり日本の実質GDPの水準を1.2%程度押し上げると試算される。他方、中長期的にはCO2削減の限界費用が増加し、経済と環境の好循環が機能しなくなるリスクがある。政府が検討を再開するカーボンプライシングは各産業に異なる影響を与えるため、今後の議論に注目する必要がある。
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