日本経済中期予測(2020年1月)

新冷戦下の2020年代、日本経済と企業の課題

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2020年01月20日

  • 経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦
  • 経済調査部 主任研究員 溝端 幹雄
  • 経済調査部 エコノミスト 山口 茜
  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉

サマリー

◆日本経済中期予測を約1年ぶりに改訂した。今回は、世界経済の中期的な行方を概観しつつ、新冷戦下のグローバルサプライチェーンの行方に焦点を当てるとともに、安倍政権の成長戦略や財政・社会保障改革を検討し、中期的な日本経済の姿を展望した。

◆今後10年間(2020~2029年度)の日本経済の成長率を年率平均で実質0.7%と予測する。予測期間前半では、社会保障充実策・経済対策等により公需を中心に成長するものの、後半にかけては人口減少率の高まりを背景にやや減速する見通しだ。物価上昇率が1%で安定する後半には、日銀の金融政策の修正が進み、金利上昇を見込む。また、世界経済の平均成長率は3.0%と、低空飛行での推移が続くと予想する。

◆グローバルバリューチェーンの拡大は世界経済にプラスの効果をもたらし、新興国の先進国へのキャッチアップを促進してきた。これまで「世界の工場」として高成長を続けてきた中国は製造業の高付加価値化を進めており、グローバルバリューチェーンの更なる効率化や、研究開発による技術力向上が、日本の競争力維持のためには重要である。

◆第二次安倍政権の発足以降の計7回の成長戦略のうち、2020年を達成時期としたKPIの現状を見ると、海外や一部の労働市場関連ではほぼ目標を達成する一方で、雇用制度や規制・生産性関連ではKPIの達成が大幅に遅れている。2020年以降の成長戦略の課題として、政策の実効性担保・優先順位・整合性を重視することに加えて、「Society5.0」時代に合わせた経済・社会制度の構築が求められる。

◆国・地方のプライマリーバランス(PB)は2025年度で対GDP比▲3.0%の見込みであり、同年度のPB黒字化の達成は困難である。全世代型社会保障検討会議では、労働・年金・医療分野を中心に改革の具体的な方向性が示されたが、将来の給付と負担の姿を見通せなければ、全世代が安心できる社会保障制度を構築できない。目指すべき自助・共助・公助のバランスや、そのために必要な改革の規模などについて議論を進めるべきだ。

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